拡大するユースケース:ファントークン

また、国内外でスポーツ分野を中心に暗号資産及びブロックチェーン技術を活用した「ファントークン」発行の動きが加速しています。スポーツクラブは独自の「トークン」を発行して収入を確保し、購入者はイベント参加権などの特典を得るというトークンエコノミーを海外の有名サッカーチームが相次いで導入しました。日本でもサッカーJリーグのチームなどが採用を始めています。

ファントークンはまず欧州サッカーで注目を集めました。ファン投票や報酬付与のプラットフォームアプリ「Socios.com」や公式ファントークンを取引できる暗号資産取引所「Chiliz Exchange」を提供するチリーズ(Chiliz)が活用しています。2019年11月にイタリアの名門サッカークラブであるユベントスがファントークンを発行したのを皮切りに、2020年3月にはスペインの名門サッカークラブであるバルセロナやフランスのパリ・サンジェルマンなど各国の強豪クラブが相次いでこのシステムを導入し、「Socios.com」の利用者数は22年4月時点において世界で約150万人を超えています

日本でも2021年に入って注目を集め、FiNANCiEでは、2021年1月には湘南ベルマーレが国内初のプロサッカークラブトークンを発行したのを皮切りにサッカー、野球及びバスケットボール等のスポーツ分野で92件の事例があります。

トークン発行は、資金調達に加えて、新たなファンとの交流やファン作りにつながると期待されています。

個人から小口資金を募る仕組みは従来のクラウドファンディングと似ているものの、購入されるトークンは“リターン(返礼品)”とは異なり、ブロックチェーン技術によりセキュリティが担保されたデジタルデータです。一過性の“リターン”ではないので、所有者は自由に二次流通マーケットで取引することも可能です。スポーツクラブはチャットや特典を通じてCT所有者であるファンと交流してトークンの価格を維持します。ファンもトークン購入を通じてコミュニティ内の投票権や特典、二次流通売買による更なるメリットを得られる可能性があります。

現在ではスポーツクラブを中心にトークンエコノミーは着実に拡大しており、FiNANCiEではエンターテインメント分野やクリエイティブな個人のトークンエコノミーも大きな実績を上げています。

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